ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(29)

『資本論』を通読したのは十代の終わりだったと書いたけれど、『源氏物語』も全巻を通して読んだのは二十代の終わりごろ。奥さんが持ってきた本のなかに、中央公論社から出ていた新書版の谷崎源氏があり、全10巻で別巻が1冊付いている。これを毎日少しずつ読んだ。
ネコふんじゃった

48 こんなんジャズじゃない、と言われたものだけど

 ジャズを聴きはじめたころは、CTIというレーベルをなんとなく馬鹿にしていた。ブルーノートなどの由緒正しいジャズ・レーベルにくらべると、ちょっと軽いというか、ストリングスを多用したサウンドをはじめ、ジャケットも含めてムードミュージ...
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小説のために(下)発行しました。無料で読めます

小説のために全3巻が完成しました。こちらから無料で見ることができます。
ネコふんじゃった

47 大地の声に酔う

 ミルトン・ナシメントの名前をはじめて目にしたのは、ムーンライダーズの『ヌーヴェル・ヴァーグ』というアルバムに彼の曲が入っていたから。同じころ、ウェイン・ショーターの『ネイティブ・ダンサー』を聴いて、このブラジルのミュージシャンに興味を抱...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(28)

28 ヒッチコックの映画  あなたのいちばん好きな映画監督は? アルフレッド・ヒッチコックです。たしかに普段はフェリーニだのタルコフスキーだの、はたまたゴダールだのとスノッブなことを言っているけれど、正直なところ、彼らの映画をそうし...
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ぼく自身のための広告(27)

27 ぼくの資本論  最近はプルーストのことなどを書いているけれど、『失われた時を求めて』を通読したのは一度だけで、二十代のときだ。その後は必要なところを読み返す程度である。これまでに読んだ長い作品は、他には『源氏物語』や『資本論』...
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「今日のさけび7月号」発行!小説のために(下)も発行間近。おたのしみに

「今日のさけび7月号」が発行されました。片山恭一が日々のあんなことやこんなことをつづったエッセイみたいなものです。
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(26)

26 ライ・クーダーの10曲  天草の下田温泉まで行ってきた。この忙しいのに、そんなことをしている場合じゃないんだけど、もう1ヵ月ほど前に家族と約束していたので仕方がないのだ。福岡から下天草までは車で5時間くらいかかる。往復で10時...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(25)

25 小説のタイトルをめぐって  小説のタイトルをきめるときはたいていもめる。すんなりきまったものは少ない。編集者が考えてくれたタイトルに変えることもある。作品を書くのはぼくだけれど、それを本という商品として市場へ送り出すのは編集者...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(24)

24 オーディオの話……③  ツーバイフォーが売り物のモダンな住宅メーカーでも、家を建てるときには神主を呼んで地鎮祭をやるようだ。やっぱり八百万の神々の国なんだなあ。ぼくたちは呪術に弱い、ということで庭に2メートル四方の鉄板を埋める...
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「今日のさけび」5月・6月号めでたく発行

今日のさけび5月・6月間号が同時発行しました!もちろんセカチュー・ボイス限定です。市販されておりません。みなさまに喜んでいただきうれしさのあまり調子にのって遊んだ結果、たまにさけび忘れる事がありましたがお許しください。決してまじで慢心など...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(23)

23 ロック・ミュージック、生涯の5曲!  今日は日曜日なので、ロック・ミュージックのなかから、ぼくの生涯の5曲を選んでみようと思う。緊張するなア。だってロックを聴きはじめて40年、ロック・ファンとしての人生がかかっているからね。二...
ネコふんじゃった

46 アンビエントな夜のために

 ブライアン・イーノが「アンビエント・ミュージック」というジャンルを作り出さなければ、この手の音楽との出会いはずっと遅れていただろう。いや、まったく出会わなかった可能性もある。そう考えると、イーノ先生に感謝です。  作者のハロル...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(22)

22 ロック・ギターのベスト・プレイ  中学生のときから40年近くロックを聴いてきた。いちばんロックを感じさせる楽器は、やっぱりギターかな。そこで今日は心に残るギター・プレイを選んでみよう。オールタイム・ベストってやつである。たちど...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(21)

21 ホウタレ  ホウタレ、ぼくにとっては懐かしい名前だ。亡くなった父が若いころ好んで食べていた魚で、お酒の肴には、これがいちばんいいと言っていた。安月給の公務員だったので、負け惜しみも多少はあったかもしれないが、他の高級魚よりも口...
ネコふんじゃった

45 突然の死を悼んで

 その日、ぼくは仕事でパリにいた。朝、ホテルの部屋でテレビをつけると、白いシーツでくるまれた遺体が、ヘリコプターから搬入されるシーンが映った。すぐに画面はジャクソン・ファイブ時代のマイケル少年に切り替わる。さらに「今夜はドント・ストップ」...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(20)

20 自己の手前でAIを超える  現在、「自己」と呼ばれているものは、遠からずAIによって簒奪されてしまうだろう。医師や教師など、人間にしかできないと考えられてきた仕事の多くが、部分的あるいは全面的にAIに取って代わられる。画像認識...
ネコふんじゃった

44 気だるい夏の昼下がりに

 七十年代、八十年代を通して、ブラジルのコンテンポラリー・ミュージックを牽引していくガル・コスタとカエターノ・ヴェローゾ。これは二人にとってのデビュー・アルバムにして、一期一会のデュエット・アルバム。録音は一九六七年、ガルは二十二歳、カエ...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(19)

19 ただいま校正中  ぼくのデビュー作『きみの知らないところで世界は動く』のゲラが送られてきたときは、これでもう間違いなく自分の本が出るのだ、という実感が湧いて「ヤッホー」と飛び跳ねたいほどうれしかった。それまでは何が起こるかわか...
講演原稿

小説を書くこと、読むこと

1.福岡で小説を書くこと  大学進学のためにこちらに来て、以来40年以上ずっと福岡に住んでいます。どうして福岡で小説を書いているのですか、上京しようと思ったことはないのですか、とたずねられることがあります。どうしてと言われても、結婚...
ネコふんじゃった

43みんなメロウでシルキーだったころ

 あのころ(というのは、ぼくが大学生だった七〇年代後半)、AORという呼び方はなかった。ソフト・アンド・メロウとかシティポップスなどと呼ばれていた。ちなみにAORは「アダルト・オリエンテッド・ロック」の略。ロックにジャズやソウルの...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(18)

18 バレンシア  ポルトガルとスペインのあいだには一時間の時差がある。すなわち夜中のうちに時計を一時間進める。午前7時30分、ようやく夜が明けはじめる。実際は6時30分ということになる。何が「実際」なのかわからないけれど。船はジブ...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(17)

17 リスボン  信長の時代、「南蛮人」といえばポルトガル人のことだった。そして当時の有名なポルトガル人といえば、なんといってもフランシスコ・ザビエルである。たしか「ザビエル」というお菓子もあったように思う。そのザビエルが、いる。こ...
ネコふんじゃった

42 あのころ彼はスゴかった

 ぼくの高校時代は、一九七四年から七六年になるのだが、この三年間に、スティーヴィー・ワンダーは『インナーヴィジョンズ』『ファースト・フィナーレ』『キー・オブ・ライフ』という三枚のアルバムを作り、いずれもグラミー賞を獲得している。ぼ...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(16)

16 クルーズ  柄にもなく海外クルーズに行ってきた。はじめての体験だ。スケジュールの都合がつきそうだったし、お値段も手ごろだったので。二週間のツアーで船に十泊する。最初と最後の一泊ずつはホテル、あとの二泊は機中だ。福岡から成田、さ...
ネコふんじゃった

41 素直に聴けなかったプログレッシブロック

 高校生のころ、大人になっても絶対に真似するまいと思ったのは、ゴルフとプログレ系のファッションだった。パッチワークをあてたジーンズにチェックのシャツという、ニール・ヤングのファッションを最高と思っていた当時のぼくには、彼らのセンスは許しが...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(15)

15 メモ  たんにメモが好きというよりは、ほとんど生態の一部になっている。完全に習慣化していて、朝起きてから寝るまで、なにかというとメモをとっている。メモをとることが、本を読むことやものを考えることと一体化しているのだ。だから机の...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.16

16 ともに味わわれる世界  マイクロソフト社をあとにしたぼくたちは、ベルヴュー(Bellevue)のトレダー・ジョーで素早く買い物をする。ワイン、塩、はちみつ、コーヒーなど、家族や友人へのおみやげだ。夜はHさん夫妻と中華レストラン...
ネコふんじゃった

40 春だ、ジャヴァンを聴こう!

 現在も活躍するブラジルのミュージシャン、ジャヴァンがアメリカのメジャー・レーベルに移籍しての第一作は、日本でのデビュー作でもある。発表は一九八二年、一曲目の「サムライ」はスティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加しているという話題性もあ...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.15

15 マイクロソフト  朝8時ごろに起床。テントのなかで昨夜の残りのチーズなどを食べて朝ごはんにする。コーヒー・メーカーが置いてあり、淹れたてのコーヒーが飲めるのがうれしい。10時に出発してシアトルをめざす。途中、デヴィッド・リンチ...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.14

14 人間の未来  午前6時半に起床。コーヒーが飲みたくて、テントを片付けるとさっそく出発。でもスターバックスもWalmartも見当たらない。走りつづけるうちEast Wenatcheeという町に漂着する。西部劇に出てきそうな小さな...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.13

13 一人でできること、できないこと  翌朝は6時に起床。このホテルは朝食が付いてないので、部屋で昨夜の残りを食べる。昼前まで部屋で読書。11時半にチェックアウトしてホテルのレストランで昼食。チキンサラダを注文するとパンが付いてくる...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.12

12 悲しきWindmill  6時半に起床、今日も快晴だ。雨など一度も降らせたことがないような空が広がっている。ホテルには朝食が付いている。ベーグルとソーセージ、卵にコーヒーといったシンプルなものだが、これで充分だ。10時ごろチェ...
ネコふんじゃった

39 お行儀のいいコルトレーンを聴く

 雪雲が低く垂れ込めた、寒い冬の日の午後、薄暗い部屋で本を読んでいると、どこからともなく、寂しくも懐かしいピアノの音色が聴こえてくる。エリントンの弾く「イン・ア・センチメンタル・ムード」のイントロだ。つぎはテナーサックス。一つ一つの音を慈...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.11

11 リスクはあなたが負う  7時に起きて一時間ほど読書。8時半に出発、途中でベーカリーを見つけたので、パンとコーヒーを買って朝食にする。11時ごろPalouse Fallという場所に着く。その名のとおり大きな巨大な滝がある。いちば...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(14)

14 還暦  60歳になった。還暦である。身に覚えのない気分だ。60年でひとまわりして生まれた年の干支に還るといっても、十二支のほうはともかく、十干なんて日ごろはほとんど意識していない、と文句を言っても還暦である。  歳をとる...
The Road To Singurality

The Road To Singularity Ep.10

10 The Land of Secrets  朝5時に目が覚める。気持ちがいいのでしばらく散歩。ボブはまだ起きてこないので、もう少し寝る。8時に起きて二人でテントを片付ける。車でしばらく走るとSafewayがあった。店のなかにスタ...
ぼく自身のための広告

ぼく自身のための広告(13)

13 オーディオの話……②  高校時代からの友人Y君が、そのころオーディオ雑誌の編集部にいて相談に乗ってくれていた。家を建てると言ったら、いろいろとアドバイスをしてくれた。総じて適切なものであったと思いたい。Y君:リビングの床の下に...
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新しい物語をはじめよう

 他の動物たちと違い、人間はフィクションをつくり、そのなかで生きる生き物である。現在、私たちがとらわれている最大のフィクションは貨幣と死だろう。 このうち貨幣のほうは、近い将来もっといいものにとって代わられると思う。オックスファムの最新デ...
The Road To Singurality

The Road To Singularity ~未知の世界を生きる(Ep.9)

9 Yakima川のほとりで  午後4時過ぎにキャンプ場に到着。所定の場所に車を停めて、まずは冷たいビールといきたいところだが、面倒くさいことを先に済ませてしまおう。昔はテントの設営といえば厄介なものだった。まずテント自体が重くかさ...