まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(12)

3月19日(月)曇り  今日は気功教室が休み。「永遠」を読み返して手を入れる。午後、父を施設へ送っていく。夜は剣道。  朝日新聞の吉本隆明の追悼文を高橋源一郎が書いている。それはいいのだけれど、ぼくは高橋の出現も含めて、吉本さんが消費資本主...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(11)

3月12日(月)晴れ  今日は寒い。「永遠」をつづける。午前中、気功。午後は歯科で、前回につづき歯垢を取ってもらう。今回はこれで終了。そのまま両親のマンションへ寄り、父に少しマッサージをほどこしてから、施設へ送っていく。夕方まで仕事をつづけ...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(10)

3月5日(月)雨  午前中、「劫火」を少しやってから気功。帰ってから夕方までつづけて、なんとか「劫火」の手直しを終える。夜は剣道。 3月6日(火)曇り  すでに書いたところへ「劫火」を組み込んでみる。全体の構成はこんな具合になる。『愛につい...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(9)

2月27日(月)曇り・晴れ  昨日に引きつづき「木霊」に手を入れる。まだ見通しが立たない。時間切れで気功教室へ出かける。  午後は父が入所している施設の定期面談。これは三ヵ月に一度、担当者よりケアプランなどの説明を受けるものだ。今日は久しぶ...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(8)

2月20日(月)曇り・晴れ  午前中は気功。2月から大極杓気功といのをやっている。文字通り長さ30センチほどの杓を使った気功である。大極棒気功というのもあり、これはもっと太い棒を使う。そのため少し武術的な香りが強くなる。いずれも気功の場合、...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(7)

2月14日(火)雨  気分が載らないので、小説は棚上げにして『アクリート』のエッセーを書く。これは愛媛新聞が毎月、購読者に配っている小冊子で、ぼくの連載は4年目に入る。新年度の連載タイトルは「雨ニモ負ケズ」とした。こういう時代なので、少しで...
ネコふんじゃった

64)世界でいちばん好きな曲

古今東西、あらゆるジャンルのなかでいちばん好きな曲は何か。ベートーヴェンの『英雄』、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」といったところが、すぐに思い浮かぶが、今日の気分としては、カーペンターズの「遥かなる影」と答えたい。  いい曲、いい...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(6)

2月6日(月)曇り  午前中、気功。帰ってから小説を進める。また行き詰まっている。予定していた展開に疑問が出てきたのだ。主人公たちの身に起こる出来事で、いかに人類の滅亡を暗示するか。いいアイデアが浮かばない。  内田樹・中沢新一『日本の文脈...
レコードのある風景

⑫ザ・スタイル・カウンシル『カフェ・ブリュ』

ぼくが福岡へやって来たのは一九七七年、大学へ入学した年だった。市街電車はまだ走っていた。地下鉄の工事中で、貝塚から天神へ向かう道は混雑がひどかった。  学生時代を思い返し、いちばん愛着のある街は、やはり親不幸通りのあたりだ。当時の親不幸通り...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(5)

1月30日(月)晴れ  今日は暖かくていい天気。午前中、気功。風邪はほぼ回復したようだ。気功の考え方では、風邪は季節の変わり目に身体の調律をするために引くものとされる。だから上手に風邪を引いて、短期間に経過させることが好ましい。間違っても風...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(4)

1月23日(月)曇り・晴れ  午前中、気功。いまは冬の土用の時期である。「用」は動くという意味。地面が動く。そうやって、新しい季節への準備をする。心身の調律にとっても大切な時期である。そんな話をY先生はされていた。  あいかわらずシモーヌ・...
ネコふんじゃった

63)たまには現代曲を聴いてみる

このCDを買ったのは、キース・ジャレット(ピアノ)とギドン・クレーメル(ヴァイオリン)という気になるミュージシャンが共演しているから。しかし聴き進むうちに、演奏者もさることながら、これらの作品の作者に大きな魅力をおぼえはじめていた。  アル...
レコードのある風景

⑪アート・ペッパー『ミート・ザ・リズム・セクション』

いまの若い人たちは、どんなふうにしてジャズを聴きはじめるのだろう。きっとぼくたちのころとくらべて、ずっと自由に、いろんな切り口から新旧のジャズを聴いているのだろうと想像される。  ぼくがジャズを聴きはじめたのは七十年代半ば、そのころはもっと...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(3)

1月16日(月)曇り  午前中、気功。午後は次男を迎えに空港へ。夕方まで仕事をして夜は剣道。いくら日記とはいえ、こんなことを書いても面白くないなあ。  昨日のセンター試験で問題の配布ミス。今朝の『朝日新聞』の見出しは「人生がかかっているのに...
レコードのある風景

⑩『メイン・ストリートのならず者』

このアルバムが発売されたのは一九七二年、ぼくが中学二年生のときだった。彼らにとっては、はじめての二枚組だ。発売前から評判の高かったアルバムで、ぼくもできればほしかった。しかし三千円という出費は、中学生にとっては取り返しのつかない額なので、買...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(2)

1月9日(月)曇り  午前中、今年最初の気功。祭日だというのに、教室は休みではないのだ。Y先生も生徒のみなさんも、やる気満々である。  午後から大阪へ帰る長男を、家族で博多駅まで見送る。途中、マリンメッセの前を通ったら、成人式に出席した若者...
あれも聴きたい、これも聴きたい

あれも聴きたい、これも聴きたい……⑧

フィル・スペクターの10曲  お待たせしました。お待ちになっていないかもしれないけれど、フィル・スペクターのベスト10を発表させてもらいます。選曲していて思ったんだけど、よほどへそ曲がりな選び方をしないかぎり、半分くらいは重なるんじゃないか...
レコードのある風景

⑨『サウンド・オブ・サイレンス』

ロックを意識的に聴きはじめたのは中学一年生のとき。最初に買ったレコードはヴェンチャーズのEP盤だった。「バットマンのテーマ」「蜜の味」などが入っていた。他にもヴェンチャーズのシングルは何枚か買った。入学祝に買ってもらったフォーク・ギターで、...
レコードのある風景

レコードのある風景……⑧『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン

ジャズのレコードを集める楽しみの一つはジャケットにある。ロックやクラシックのアルバムとは明らかにテイストが異なる。  たとえばブルー・ノートのジャケット・デザインの特徴は、まず単色であること。これは低予算による制約だろう。つぎにミュージシャ...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2012年……(1)

1月1日(日)曇り  家族四人揃ってお雑煮を食べ、新年を祝う。昼は施設に入っている父を一時帰宅させ、神奈川から来ている妹たちも揃い、みんなで簡単な食事。ぼくのところが息子二人、妹のところは一男二女、五人の孫が揃うことはめったにないので、両親...
レコードのある風景

レコードのある風景……⑦

⑦『ゴルトベルク変奏曲』  もう二十年くらい前になるだろうか。ある日、突然ピアノに目覚めた。独学でハノンなどの教則本にも取り組んだけれど、なんといっても弾きたかったのはバッハだ。それでゼンオンの『クラヴィーア小曲集』という、いちばん簡単なバ...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(18)

12月22日(木)曇り  冬型の天気で寒くなった。夕方から天神に出て、TUTAYAで古本を買う。今日は鶴見俊輔・小田実『オリジンから考える』(岩波書店)、吉本隆明・江藤淳『文学と非文学の倫理』(中央公論社)、中島義道『悪への自由』(勁草書房...
レコードのある風景

レコードのある風景……⑥

⑥『ワン・マン・ドッグ』  デビュー当時のジェイムズ・テイラーのかっこよさは、現在の彼からはちょっと想像するのが難しい。音楽的にはブランクもなく、常にクオリティの高い作品を発表しつづけている人だが、どこか神経質そうで、孤独な影をまとった初期...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(17)

12月14日(水)曇り  午前中、小説を書いて、午後から九州産業大学で講義。今日は太宰治について話す。好きな作家なので、こっちもノリノリである。珍しく時間が足りなくなった。たとえば「走れメロス」の最後の場面、読むたびに感動して胸がいっぱいに...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(16)

12月7日(水)曇り・雨  午前中は小説を書き、午後は九産大にて講義。今日は小林多喜二を中心にプロレタリア文学について話す。いまの学生たちは、マルクス主義についてどのくらい理解があるのだろう? 昭和の初期、日本の文学者たちにとってマルクス主...
レコードのある風景

レコードのある風景……⑤

⑤『クール・ストラッティン』  それまでロック一筋だったぼくは、大学に入ってからジャズを聴きはじめた。きっかけはトム・ウェイツの『土曜の夜の恋人』だった気がする。他にも、ポール・サイモン、ジョニ・ミッチェル、ビリー・ジョエルなど、あのころ(...
ネコふんじゃった

 62)深夜のラジオから流れてきた「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」

中学生のころ、ラジオを聞きながら勉強するのが習慣だった。当然、勉強にはあまり身が入らず、ラジオの方が主だった。リクエストのはがきなんかも出していた。地元の民放だと、かなりの確率で読まれた。  二年生の冬だった。炬燵に入って、いつものようにラ...
九産大講義

現代文学として『源氏物語』を読む……第7回 近親のエロス(2)

病気の治療のため北山の行者のところへ通う道すがら若紫を見出した源氏は、幼女の面倒を見ている僧都と尼君(若紫の祖母にあたる)に「自分に世話をさせてくれ」と申し出ます。原文では「後見(うしろみ)」とあります。世話をする人という意味ですが、平安時...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(15)

12月1日(木)曇り  今日から十二月。いろいろあった一年も、あと残すところ一ヵ月。原発事故、ヨーロッパの経済危機……様々な面で、世界の破局が近いことを実感させられた一年だったように思う。来年はどんな一年になるのだろう。あまり明るい見通しは...
レコードのある風景

レコードのある風景……④

④『フリーホイーリン』  中学二年生からロックを聴きはじめたぼくは、一年後の秋には、いっぱしのロック少年になっていた。ビートルズのアルバムは五枚くらい手に入れたし、ローリング・ストーンズは二枚組のベスト盤を買ったので、ヒット曲はだいたい頭に...
九産大講義

現代文学として『源氏物語』を読む……第6回 近親のエロス(1)

『源氏物語』のうち光源氏を主人公とする部分(第41章「雲隠」まで)について見ると、彼にとって重要な女性は藤壺と紫の上ということになります。まさに「紫」の女性たちをめぐる物語です。そのなかで若紫との出会いの場面を見てみましょう。       ...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(14)

11月25日(金)曇り・晴れ  今日はなんと午前3時半起床なのだ。熱気球に乗るためで、4時10分にバスがホテルまで来てピックアップしてくれる。ケアンズ近郊までバスで一時間ほど。牧場みたいなところで、三つの熱気球がスタンバイしている。このあた...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(13)

11月23日(水)雨・曇り  ホテルの部屋でクラッカーとチーズとフルーツの朝食。スコールのような雨が降っているので、午前中はベッドの上で読書。電子辞書を引きながらChatwinの書簡集を読む。この書簡集には8歳のときに両親に宛てたものから、...
レコードのある風景

レコードのある風景……③

③『ウェイブ』  海辺の街に生まれ育ったので、子どものころの海水浴の思い出は、いまでも無性に懐かしい。水中メガネをつけて潜ると、眼下を大小様々の魚たちが泳いでいる。沖へ向かって泳いでいくうち、海の底はだんだん深くなって、あるところからすり鉢...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(12)

11月21日(月)曇り・晴れ  現地時間の午前4時45分、ケアンズ空港着。日本との時差は1時間なので、実質の飛行時間は約8時間。この間に、二回機内食が出るのにはまいった。しかも一回目は午後10時半で、二回目は午前3時半なので、あいだは5時間...
レコードのある風景

レコードのある風景……②

②『カリフォルニア・シャワー』  その年、というのは一九七八年のこと。福岡は史上まれにみる大渇水に見舞われていた。ほぼ一年間にわたって、時間指定断水がつづいた。当時、ぼくは大学二年生で箱崎に下宿していた。遊郭を改築したような下宿は、下水道の...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(11)

11月15日(火)晴れ  小学館の菅原さんより解説をたのまれた、嶽本野ばらさんの『タイマ』を読みはじめる。この小説は、彼が大麻の不法所持で逮捕され、復帰しての第一作である。だから逮捕の体験を中心に書いてある。野ばらさんの小説を読むのは、これ...
まぐまぐ日記

まぐまぐ日記・2011年……(10)

11月8日(火)曇り  このところ「日本人の死生観」というエッセーを書いているが、うまく書けずに苦労している。土着の他界観の上に、仏教や道教や儒教など、外来の宗教思想が入って来て、本来の姿を見えにくくなっているのだ。また貴族たちの考えていた...
レコードのある風景

レコードのある風景……①

① アビー・ロード   現在、ビートルズのCDは、イギリス盤が世界共通のフォーマットになっている。すなわち12枚のオリジナル・アルバムにアメリカ編集の『マジカル・ミステリー・ツアー』、シングルをまとめた『パスト・マスターズ』が2枚。全15枚...
九産大講義

現代文学として『源氏物語』を読む……第5回 中の品の女

第二巻の「帚木」で光源氏は17歳になっています。4歳年上の葵の上と結婚して5年になりますが、二人のあいだには子どももなく、なんとなく疎遠な感じです。舅である左大臣家にはたまにしか顔を出さず、内裏の住まいで過ごすことの多い源氏です。  梅雨の...