まぐまぐ日記・2012年……(10)

まぐまぐ日記
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3月5日(月)雨

 午前中、「劫火」を少しやってから気功。帰ってから夕方までつづけて、なんとか「劫火」の手直しを終える。夜は剣道。

3月6日(火)曇り

 すでに書いたところへ「劫火」を組み込んでみる。全体の構成はこんな具合になる。『愛についてなお語るべきこと』……1.彼女の本当の名前 2.微笑 3.彼女の本当の名前 4.家族 5.彼女の本当の名前 6.経済 7.彼女の本当の名前 8.密林 9.彼女の本当の名前 10.渋滞 11.彼女の本当の名前 12.寺院 13.彼女の本当の名前 14.楽園 15.彼女の本当の名前 16.戦場 17.彼女の本当の名前 18.木霊 19.彼女の本当の名前 20.劫火 21.彼女の本当の名前 22.永遠 23.彼女の本当の名前 24.足音

 以上でだいたい1200枚。長編と言っていいだろう。

3月7日(水)曇り

 今日から「永遠」に取りかかる。

 午後は買い物。散歩。あいかわらず『カラマーゾフの兄弟』を読んでいる。いよいよ殺人が起こり、物語は大きく動きはじめるが、ぼくはむしろ事件が起こるまでの前半の方が面白いように思う。イワンの「反抗」や「大審問官」も前半だし、何よりも殺されるフョードル(父)が魅力的なのだ。彼が退場したあとは、作品としていささか精彩を欠く気がする。

 夜は剣道。

3月8日(木)曇り

 「永遠」をつづける。

 午後は歯科へ。半年に一回、検診を受けて歯石をとってもらっている。ぼくは虫歯ができやすい体質らしいので、わりと歯のケアには気をつかっている。

 夜は『カラマーゾフの兄弟』を読んでしまう。ドミートリーの裁判の場面は、ぼくにはあまり面白くないので、さっさと読んでしまった。結論、『カラマーゾフ』は前半である。

3月9日(金)曇り・晴れ

 午前中、家内の病院受診に付き合う。ここ何年か、甲状腺ホルモンが少なくなる病気(橋本病)で受診している。それと関係があるのか、高脂血症でコレステロールの値も高い。本人は元気だが、薬を飲みつづけているので、ちょっと心配だ。

 午後から暖かくなる。小説の参考文献として、広河隆一『暴走する原発』(小学館)とウィリアム・ソウルゼンバーグ『捕食者なき世界』(文藝春秋)を読む。

 夜は『老兵は死なず』という古い映画を観る。デボラ・カーが三役で出るという珍しい作品。古き良き時代の戦争映画といったところ。監督はマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガー。1943年作品。

3月10日(土)晴れ

 午前中、「永遠」をつづける。

 昼前に父を施設へ迎えに行く。インフルエンザを警戒しての面会・外泊禁止がつづいていたが、ようやく許可が出た。約一ヵ月ぶりの外泊だ。

 昼食を済ませてから西南学院大学へ。今日はRKBアナウンサーの朗読会に招待されている。あまり期待していなかったが(失礼)、とても良かった。アナウンサーが朗読に挑戦するという試み。しかも会場の西南大チャペルには、立派なパイプオルガンがある。プロの技師による音響、照明とともに、パイプオルガンの生演奏が朗読を盛り上げる。じつに贅沢な企画だ。さすがにプロのアナウンサー、朗読も堂に入ったものだ。エリック・カールの『ことりをすきになった山』などは、涙が出そうになるほど感動した。

 午後5時、ジュンク堂で小学館の石川さんと待ち合わせて、最近すっかり行きつけになっている「酒一番」にて、久しぶりに歓談。新しい小説の話などで盛り上がる。石川さんは午後9時の飛行機で東京へ。

 9時ごろ帰宅。忙しい一日だった。

3月11日(日)曇り

 引きつづき「永遠」。

 午後は両親のマンションへ行って、父にマッサージをほどこす。夕方、散歩。小説の参考文献として武田邦彦『2015年放射能クライシス』(小学館)を読む。

 夜はルノワールの『ゲームの規則』。ヌーヴェルバーグの若い作家たちが持ち上げていた作品だ。ブルジョワ階級の生態をユーモラスに描いている。いつもながらルノワールの演出はのびやかで、こういう映画を観ていると、最近の監督たちの演出が神経質に感じられる。いわゆる群衆劇だが、観客を混乱させずに、これだけ鮮やかに演出する手腕は見事だ。ルノワール自身も出演(オクターブ役)しており、なかなかの演技を見せる。