90)ファンクとフュージョンの絶妙なバランス

ネコふんじゃった
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 クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子と呼ばれた兄弟だが、もともとビリー・プレストンのバンドにいた人たちである。したがって音楽的にはソウルやジャズの要素が強い。でも彼らの個性を際立ったものにしているのは、やはり弟ルイスのスラップ・ベース(チョッパー)だろう。この時代の多くのフュージョン系のアルバムで、彼のベースが聴ける。

このアルバムは1977年にリリースされた、クインシーのプロデュースによる二作目で、彼らの代表作だ。ぼくのまわりにも何人か持っている友だちがいたから、かなり売れたのだろう。とくに「ストロベリー・レター23」は、いまでもフュージョンのコンピレーションなどには定番のようにして入っている。バックを支えるのはデイブ・グルーシンをはじめとして、ハーヴィー・メイスン、リー・リトナー、ラルフ・マクドナルドといった、当時の西海岸を代表するスタジオ・ミュージシャンたち。

ブラコンやAORと言ってもいいくらメロウで洗練された音は、都会派のソウル・ミュージックとしても心地よく聴ける。そこにルイスのはじけるベースが、適度なファンクの風味を添える。弟ほど目立たないが、兄ジョージのソフトなヴォーカルも良い。歌、演奏、それにクインシーも買っていたコンポーザーとしての能力、まさに怖いものなし兄弟だった。

 この路線で四枚のアルバムを発表したあとクインシーからは独立。その後、二人は仲違いをしてコンビを解消する。残念。(2010年4月)