創作

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蒼い狼と薄紅色の鹿(3)

こうして首尾よく国際文化学部日本文化学科のなかに、文芸創作と文芸研究という二つの怪しげなクラスが開設されることになった。  文芸研究のクラスでは、主に日本の近代文学について教えている。今週は東海散士の『佳人之奇偶』と三遊亭円朝の落語速記本を...
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蒼い狼と薄紅色の鹿(2)

2  いまどきの大学で文芸創作などという講座を開設しているところは珍しいだろう。文科省の役人たちは高校や大学のカリキュラムから文学を抹殺しようと躍起になっている。愚かなことだ。連中には何もわかっていない。これからは文学の時代、物語の時代だと...
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蒼い狼と薄紅色の鹿(1)

1  十九世紀オーストリアの作家、アーダベルト・シュティフターの話をしている。学生たちには彼の代表作である『晩夏』の一部をコピーして配ってある。トーマス・マンが絶賛し、ニーチェが愛読していたという作品だ。三十人ほどいる学生のうち、話を聞いて...
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骨笛

少年は毎日、日が暮れると海辺に転がっている流木を集めて火を焚いた。荒波に洗われた木は、樹皮が削り取られて白い幹がむき出しになっていた。それは海に棲む巨大な生物の白骨を想わせた。漁船の燃料に使う油を、家の者に内緒で瓶に詰めて持ってきていた。細...