なお、この星の上に(4)

4  健太郎の一日は牛の乳搾りからはじまる。バケツに搾った生乳は金属製の容器に入れ、リヤカーで近くの集配所に運ぶ。これが毎朝の日課だった。夕食の前にも、もう一度乳搾りが待っている。休みの日でも関係ない。搾乳を怠ると、牛は […]

なお、この星の上に(3)

3  農家の生垣から、馬酔花の白い花が顔を覗かせていた。庭先では梅は鮮やかなピンクの花をつけている。牛がときどき間延びした鳴き声を上げた。春休みに入ったばかりの日曜だった。四人はほとんど喋らずに、大根や白菜が植えられた畑 […]

なお、この星の上に(2)

2  山に動物たちが集まっているらしい。飯場では怪我をした人夫もいるという。不可解なことだ、と村の人たちは思った。どんな動物も好んで人を襲うことはない。まして大勢の男たちが集まっている場所へ、のこのこ出てくる物好きはいな […]

なお、この星の上に(1)

1  その日、イヌワシは切り立った崖の巣を飛び立った。昇ったばかりの朝日のなか、風をつかまえ、ゆっくりと旋回をはじめる。上昇気流に乗って、徐々に高度を上げていく。餌を探さなければならない。ワシは腹を空かせている。獲物はノ […]

弔辞

 濱崎君、まさかこんなに早くお別れの言葉を述べる日が来るとは思ってもみませんでした。日記を見ると、ちょうと一年前に最初の知らせを受けています。長く医者をやってきた君らしく、膵臓癌のステージⅣbだとあっさり明かしてくれまし […]

19 今年は三十一回忌

 「夏の日の恋」でおなじみのパーシー・フェイス。ジャンルでいうとムード・ミュージックやイージー・リスニングといったくくりになるかと思う。しかしヨーロッパ音楽からはじまり、ミュージカル、ラテン、映画音楽、さらに晩年にはキー […]