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今日のさけび

 今日はSF映画の古典『2001年宇宙の旅』を鑑賞しましょう。まずあらすじを紹介します。遠い昔、ヒトの祖先(ヒトザル)が他の獣たちと変わらない生活を送っていたころ、黒い石板のような謎の物体(モノリス)が彼らの前に出現する。やがて1匹のヒトザルが謎の物体の影響を受け、動物の骨を道具・武器として使うことを覚えた。獣を倒し多くの食物を手に入れられるようになったヒトザルは、反目する別のヒトザルの群れに対しても武器を使用して殺害し、水場争いに勝利する。歓びのあまり、骨を空に放り上げると、これが最新の宇宙船に変る。

 月に人類が住むようになった時代。合衆国宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士は、月のクレーターで発掘された謎の物体(通称「モノリス」)を極秘に調査するため月面基地に向かう。調査中、400万年ぶりに太陽光を浴びたモノリスは強力な信号を木星に向けて発した。18ヵ月後、宇宙船ディスカバリー号は木星探査の途上にあった。乗組員は船長のデビッド・ボーマンとフランク・プールら5名の人間(ボーマンとプール以外の3名は出発前から人口冬眠中)と、史上最高の人工知能HAL9000型コンピュータである。

 順調に進んでいた飛行の途上HALは、ボーマン船長にこの探査計画に疑問を抱いている事を打ち明ける。その直後、HALは船のユニットの故障を告げるが、実際に調べてみると問題はなかった。二人はHALの異常を疑い、その思考部を停止させるべく話し合う。これを察知したHALが乗組員の殺害を決行する。プールは船外活動中に宇宙服の機能を破壊され、人工冬眠中の3人は生命維持装置を切られてしまう。ただ一人生き残ったボーマン船長はHALの思考部を停止させ、探査の真の目的であるモノリスの件を知ることになる。

 つぎに鑑賞のポイントです。この映画に登場するコンピュータの設計や画面にはIBMが協力しているそうです。当初はロゴがあしらわれていましたが、「コンピュータが人間を殺害する」というストーリーであることが判明し、IBMは手を引き、ロゴもすべて除去されました。でも、よく見てください。フロイド博士が宇宙ステーションに向かうときに乗っている宇宙船のモニターには、はっきり「IBM」って書いてありますよ。ディスカバリー号の乗員たちが食べる宇宙食は、NASAが実際に開発して本作のために提供したものです。当時のアメリカはソ連との宇宙開発競争の真っただ中、かなり国策的な映画だったのかもしれませんね。

 音楽にも注目しましょう。『ツァラトゥストラかく語りき』(リヒャルト・シュトラウス)、『美しき青きドナウ』(ヨハン・シュトラウス)など有名曲のほかに、現代音楽の作曲家、ジェルジ・リゲティの作品が効果的に使われています。とくに最初のシーン、モノリスが出現してヒトザルたちに作用し、暴力が発生するシーンに使われるリゲティ、知恵の獲得とリンクするかのように響き渡るシュトラウス、画面が宇宙船に切り替わってから静かに流れるシュトラウス、という構成は見事です。

 ヒトザルたちのシーンはどういう意図で撮られた? モノリスと木星探査の理由を押さえておこう。HAL9000はなぜ乗組員を殺そうとするのか? 生き残った者は最後にどこへ行ったのか? 何になったのか? スタンリー・キューブリック監督、1968年の作品です。(2019.5.25)

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