あの日のジョブズは あの日のジョブズは(6) 6 クリスト・ドライブ2066 あたりは閑静な住宅地だ。平日の昼下がりで、人通りはほとんどない。目的のガレージはすぐに見つかった。郵便ポストに「2066」と書いてある。その横に「立ち入り禁止」の看板が立ち、「防犯カメラが作動しています」とい... 2020.05.14 あの日のジョブズは
ネコふんじゃった 55 こんなぼくですけど ジャケットを思い浮かべるだけで、幸せな気分になれるレコードがある。このアルバムなどは、さしずめその最たるもの。ちょっと太目のお兄さんが、タキシードにけったいな蝶ネクタイをしめて、そろそろ床屋へ行った方がよさそうな髪には軽い寝癖が。いったい誰... 2020.05.10 ネコふんじゃった
アフター・コロナ アフター・コロナ(1) 1 一部の専門家たちにとっての「真理」が、ネットワークを通して世界中に拡散すると、現行のシステムを破壊しかねないほどのものになる。「正しいこと」が瞬時に世界中に拡散することで、ほとんど世界大戦並みの荒廃が引き起こされる。それがいまぼくたちの... 2020.05.09 アフター・コロナ
あの日のジョブズは あの日のジョブズは(21) 21 つながりっぱなしの世界 ここで少しインターネットの歴史をひもといてみよう。まずは自分の体験から書こうと思うのだが、あまりにも日常の一部になっていて、最初の出会いがどのようなものだったか思い出せない。何しろ紀元前の話である。おぼろげな記... 2020.04.21 あの日のジョブズは
あの日のジョブズは あの日のジョブズは(5) 5 とりあえずのバイオグラフィー(後編) アップルから追放されたあと、ジョブズはただちに新しい会社をつくる。アップルにたいする復讐心に燃えていたとも言われるが、ジョブズにしてみれば当然だろう。アップルを退社する際に、彼は5人の中核社員を引き... 2020.04.21 あの日のジョブズは
あの日のジョブズは あの日のジョブズは(4) 4 ちょっと一休み いやなやつだったらしい。正真正銘のクソ野郎と言う人もいる。ぼくのまわりにもいる。ジョブズの本を書いていると言ったら、「なぜあんなやつのことを書くんだ」と不思議そうな顔をされた。いまでは誰もジョブズのことなど気にかけていな... 2020.04.21 あの日のジョブズは
あの日のジョブズは あの日のジョブズは(3) 3 とりあえずのバイオグラフィー(前半) というわけで、最初にジョブズの簡単なバイオグラフィーを見ておこう。基本的にはオフィシャルな自伝とされているウォルター・アイザックソンの『スティーブ・ジョブズ』に依り、さらに長年にわたりジョブズの取材... 2020.04.21 あの日のジョブズは
あの日のジョブズは あの日のジョブズは(2) 2 Where Are You ? 男を探している。どこにいるのかわからない。どこを探せばいいのか見当もつかない。重要なやつなのか? おそらくキリスト教徒にとってのイエスと同じくらい重要だ。イエスと同じように、彼も後の人々からは歴史を大きく... 2020.04.21 あの日のジョブズは
あの日のジョブズは あの日のジョブズは(1) 1 ジョブズの写真 父親はシリアからの留学生だった。母親はドイツ系移民の厳格な家庭に育った。ウィスコンシン大学の大学院生だった二人のあいだに生まれた子どもは、最初から養子に出されることがきまっていた。こうして彼の姓は「ジョブズ」になる。 養... 2020.04.21 あの日のジョブズは
ネコふんじゃった 54 それから先のことは 昨年、彼が亡くなったあと、なんとなく聴きたくなったのが「シンガプーラ」だった。熱い風かき回す、羽ひろげる扇風機、西、東、血が混じる、あの子の目に魅せられた……。その「シンカーブラ」を収録した本アルバムは、一九七六年にアラバマ州はシェイフィー... 2020.04.16 ネコふんじゃった
ネコふんじゃった 53 最高にかっこいいロック・アルバム フランク・ザッパというと奇人変人のイメージが先行して、とくに日本では、彼の音楽が正当に評価されていない気がする。しかしアルバムを聴いてもらえばわかるとおり、非常に高い音楽性をもった、天才的なミュージシャンである。 あまりに才能があり過ぎるた... 2020.03.24 ネコふんじゃった
みなさんへのお知らせ 「今日のさけび10月号、11月号」電子本同時発行。会員登録なしでどなたでも見れます 「今日のさけび10月・11月号」の電子本同時発行しました。もちろんセカチュー・ボイス限定です。市販されておりません。どなたでも見ることができますこちらからどうぞ 2020.03.22 みなさんへのお知らせ
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(28) 28 父の杖 86歳になる母が、もう足が弱ってお四国の巡礼にも行かれないから、長年使ってきた杖を結願のお寺に奉納してきたいと言う。7年前に亡くなった父の杖もそのままになっている。じゃあ二本まとめてお納めしてくるか、ということになった。幸い今... 2020.02.25 ぼく自身のための広告
ネコふんじゃった 52 スティルス、才気爆発の一作 かつてのバンド仲間だったニール・ヤングと、なにかにつけて比較されることの多かったスティーブン・スティルス。ぼくの贔屓はニール・ヤングだったけれど、才能があるのはスティルスだと思っていた。ギターもキーボードも上手いし、ハスキーな独特の声で、し... 2020.02.11 ネコふんじゃった
ネコふんじゃった 51 生涯に出会った最高のロックバンド 最初にザ・バンドの音楽に触れたのは、やはりボブ・ディランがらみだった。高校一年生の夏、ディランとザ・バンドのライブ・アルバムが発売になる。二枚組みのアルバムには、ザ・バンドを従えた力強いディランの歌と、それ以上に魅力的なザ・バンド単独の演奏... 2020.01.26 ネコふんじゃった
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(27) 27 ぼくのボブ・ディラン ときどき遊びに行っているウクレレ教室で発表会をやることになった。お酒を飲みながら一人一曲ずつ演奏して歌う。ぼくはギターの弾き語りでしっとりと「イエスタデー」などやって、ご婦人方の涙腺をくすぐるつもりだ😁。教室の... 2020.01.19 ぼく自身のための広告
ネコふんじゃった 50 はじめて買ったボブ・ディランのレコード ぼくたちが中学生のとき、「学生街の喫茶店」という曲がヒットしていた。歌っていたのはガロという名前の三人組。歌詞のなかに「片隅で聞いていたボブ・ディラン」という一節が出てくる。そのころから「ボブ・ディラン」という名前が気になっていた。 はじめ... 2020.01.10 ネコふんじゃった
みなさんへのお知らせ 「今日のさけび8月号、9月号」電子本同時発行。会員登録なしでどなたでも見れます 世界の中心で、愛をさけぶの作家、片山恭一の毎日発行のエッセイを月ごとにまとめました。 2020.01.07 みなさんへのお知らせ
ネコふんじゃった 49 一瞬のアイコン 高校を卒業するまで住んでいた街には、レコード屋が二軒あった。中学二年生の秋、これら二つの店に、突如として巨大なポスターが現れた。しかも店内のあちこちに、中吊り広告のように何枚も吊るしてある。それがこのT・レックス、『スライダー』のポスターだ... 2019.12.21 ネコふんじゃった
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(26) 『資本論』を通読したのは十代の終わりだったと書いたけれど、『源氏物語』も全巻を通して読んだのは二十代の終わりごろ。奥さんが持ってきた本のなかに、中央公論社から出ていた新書版の谷崎源氏があり、全10巻で別巻が1冊付いている。これを毎日少しずつ読んだ。 2019.12.06 ぼく自身のための広告
ネコふんじゃった 48 こんなんジャズじゃない、と言われたものだけど ジャズを聴きはじめたころは、CTIというレーベルをなんとなく馬鹿にしていた。ブルーノートなどの由緒正しいジャズ・レーベルにくらべると、ちょっと軽いというか、ストリングスを多用したサウンドをはじめ、ジャケットも含めてムードミュージック的なとこ... 2019.11.26 ネコふんじゃった
ネコふんじゃった 47 大地の声に酔う ミルトン・ナシメントの名前をはじめて目にしたのは、ムーンライダーズの『ヌーヴェル・ヴァーグ』というアルバムに彼の曲が入っていたから。同じころ、ウェイン・ショーターの『ネイティブ・ダンサー』を聴いて、このブラジルのミュージシャンに興味を抱くよ... 2019.10.16 ネコふんじゃった
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(25) 25 ヒッチコックの映画 あなたのいちばん好きな映画監督は? アルフレッド・ヒッチコックです。たしかに普段はフェリーニだのタルコフスキーだの、はたまたゴダールだのとスノッブなことを言っているけれど、正直なところ、彼らの映画をそうしょっちゅう... 2019.10.12 ぼく自身のための広告
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(24) 24 ぼくの資本論 最近はプルーストのことなどを書いているけれど、『失われた時を求めて』を通読したのは一度だけで、二十代のときだ。その後は必要なところを読み返す程度である。これまでに読んだ長い作品は、他には『源氏物語』や『資本論』などがある... 2019.09.28 ぼく自身のための広告
みなさんへのお知らせ 「今日のさけび7月号」発行!小説のために(下)も発行間近。おたのしみに 今日のさけび7月間号が発行しました!片山恭一が日々のあんなことやこんなことをつづったエッセイみたいなものです。もちろんセカチュー・ボイス限定です。市販されておりません。こちらからどうぞ(はじめてのかたは初回のみ登録お願いいたします。あとは読... 2019.09.27 みなさんへのお知らせ
あれも聴きたい、これも聴きたい あれも聴きたい、これも聴きたい……⑤ ライ・クーダーの10曲 天草の下田温泉まで行ってきた。この忙しいのに、そんなことをしている場合じゃないんだけど、もう1ヵ月ほど前に家族と約束していたので仕方がないのだ。福岡から下天草までは車で5時間くらいかかる。往復で10時間! そのあいだ... 2019.09.22 あれも聴きたい、これも聴きたい
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(23) 23 小説のタイトルをめぐって 小説のタイトルをきめるときはたいていもめる。すんなりきまったものは少ない。編集者が考えてくれたタイトルに変えることもある。作品を書くのはぼくだけれど、それを本という商品として市場へ送り出すのは編集者や出版社の... 2019.09.07 ぼく自身のための広告
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(22) 22 オーディオの話……③ ツーバイフォーが売り物のモダンな住宅メーカーでも、家を建てるときには神主を呼んで地鎮祭をやるようだ。やっぱり八百万の神々の国なんだなあ。ぼくたちは呪術に弱い、ということで庭に2メートル四方の鉄板を埋めることになっ... 2019.09.01 ぼく自身のための広告
みなさんへのお知らせ 「今日のさけび」5月・6月号めでたく発行 今日のさけび5月・6月間号が同時発行しました!もちろんセカチュー・ボイス限定です。市販されておりません。みなさまに喜んでいただきうれしさのあまり調子にのって遊んだ結果、たまにさけび忘れる事がありましたがお許しください。決してまじで慢心などし... 2019.08.29 みなさんへのお知らせ
あれも聴きたい、これも聴きたい あれも聴きたい、これも聴きたい……④ ロック・ミュージック、生涯の5曲! 今日は日曜日なので、ロック・ミュージックのなかから、ぼくの生涯の5曲を選んでみようと思う。緊張するなア。だってロックを聴きはじめて40年、ロック・ファンとしての人生がかかっているからね。二週間くらい考えに... 2019.08.26 あれも聴きたい、これも聴きたい
ネコふんじゃった 46 アンビエントな夜のために ブライアン・イーノが「アンビエント・ミュージック」というジャンルを作り出さなければ、この手の音楽との出会いはずっと遅れていただろう。いや、まったく出会わなかった可能性もある。そう考えると、イーノ先生に感謝です。 作者のハロルド・バッドは、一... 2019.08.22 ネコふんじゃった
あれも聴きたい、これも聴きたい あれも聴きたい、これも聴きたい……③ ロック・ギターのベスト・プレイ 中学生のときから40年近くロックを聴いてきた。いちばんロックを感じさせる楽器は、やっぱりギターかな。そこで今日は心に残るギター・プレイを選んでみよう。オールタイム・ベストってやつである。たちどころに5つのテイ... 2019.08.17 あれも聴きたい、これも聴きたい
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(21) 21 ホウタレ ホウタレ、ぼくにとっては懐かしい名前だ。亡くなった父が若いころ好んで食べていた魚で、お酒の肴には、これがいちばんいいと言っていた。安月給の公務員だったので、負け惜しみも多少はあったかもしれないが、他の高級魚よりも口に合ったの... 2019.08.04 ぼく自身のための広告
ネコふんじゃった 45 突然の死を悼んで その日、ぼくは仕事でパリにいた。朝、ホテルの部屋でテレビをつけると、白いシーツでくるまれた遺体が、ヘリコプターから搬入されるシーンが映った。すぐに画面はジャクソン・ファイブ時代のマイケル少年に切り替わる。さらに「今夜はドント・ストップ」「ス... 2019.07.31 ネコふんじゃった
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(20) 20 自己の手前でAIを超える 現在、「自己」と呼ばれているものは、遠からずAIによって簒奪されてしまうだろう。医師や教師など、人間にしかできないと考えられてきた仕事の多くが、部分的あるいは全面的にAIに取って代わられる。画像認識などを含む... 2019.07.29 ぼく自身のための広告
ネコふんじゃった 44 気だるい夏の昼下がりに 七十年代、八十年代を通して、ブラジルのコンテンポラリー・ミュージックを牽引していくガル・コスタとカエターノ・ヴェローゾ。これは二人にとってのデビュー・アルバムにして、一期一会のデュエット・アルバム。録音は一九六七年、ガルは二十二歳、カエター... 2019.07.13 ネコふんじゃった
ぼく自身のための広告 ぼく自身のための広告(19) 19 ただいま校正中 ぼくのデビュー作『きみの知らないところで世界は動く』のゲラが送られてきたときは、これでもう間違いなく自分の本が出るのだ、という実感が湧いて「ヤッホー」と飛び跳ねたいほどうれしかった。それまでは何が起こるかわからないと思... 2019.05.29 ぼく自身のための広告
講演原稿 小説を書くこと、読むこと 1.福岡で小説を書くこと 大学進学のためにこちらに来て、以来40年以上ずっと福岡に住んでいます。どうして福岡で小説を書いているのですか、上京しようと思ったことはないのですか、とたずねられることがあります。どうしてと言われても、結婚して子ども... 2019.05.27 講演原稿
ネコふんじゃった 43みんなメロウでシルキーだったころ あのころ(というのは、ぼくが大学生だった七〇年代後半)、AORという呼び方はなかった。ソフト・アンド・メロウとかシティポップスなどと呼ばれていた。ちなみにAORは「アダルト・オリエンテッド・ロック」の略。ロックにジャズやソウルの要素をブレン... 2019.05.23 ネコふんじゃった