ロック・ギターのベスト・プレイ
中学生のときから40年近くロックを聴いてきた。いちばんロックを感じさせる楽器は、やっぱりギターかな。そこで今日は心に残るギター・プレイを選んでみよう。オールタイム・ベストってやつである。たちどころに5つのテイクが頭に浮かんだ。それほど強い印象を、これらのプレイはぼくのなかに残している。
- Amos Garrett 「Midnight At The Oasis」(Maria Muldaur)
- Lowell George 「Your Bright Baby Blues」(Jackson Browne)
- Nils Lofgren 「Speakin’Out」(Neil Young)
- Andy Partridge 「Ten Feet Tall」(XTC)
- Robbie Robertson 「Unfaithful Servant」(The Band)
どうです、素晴らしいじゃありませんか。短くコメントしてみよう。エイモス・ギャレットのプレイは聴いた者を幸せにしてくれる。音のファンタジー。はじめて聴いたときから、もう何百回も聴いているけれど飽きない。その都度新鮮。宇宙でいちばん素敵なギター。1973年のアルバム『マリア・マルダー』に収録。
ローウェル・ジョージとリトル・フィートはぼくのフェイヴァリット・ミュージシャン、フェイヴァリット・バンド。ソングライター、ヴォーカリスト、プロデューサー、いずれにおいても秀でたローウェルだが、ギター・プレイというと真っ先にこれが思い浮かぶ。一発入魂のギター。長々と弾かないところがいい。冷たい情念は狂気さえ感じさせる。『プリテンダー』(1976年)に収録。
ニール・ヤング史上もっとも生々しい1975年のアルバム『今宵その夜』のハイライト。飲んだくれたニールの歌もピアノもよれよれだけれど、それをぐっと引き締めるニルスのギター。彼は素面だったのか?「オールライト・ニルス!」の掛け声と、それに応えるプレイがかっこいい。このアルバム、「メロー・マイ・マインド」(シンプリー・レッドによる秀逸なカバーあり)、「アルバカーキ」など名曲満載。
このアンディ・パートリッジのギターを聴いときには本当にびっくりした。これまでにまったくない新しいスタイルのプレイだったからだ。アイデアに溢れている。ギターの演奏に知性を感じたのは、このときがはじめてだった気がする。1979年の『ドラムズ・アンド・ワイヤーズ』から。コリン・ムールディングっていい曲を書くなあ。エンジニアはスティーヴ・リリーホワイト、いまとなっては懐かしい音だ。
最後はやっぱりザ・バンド。ぼくが生涯愛しつづけるバンド。『ロック・オブ・エイジズ』は誰が何と言おうと最強のロック・アルバムだ。1971年12月28~31日にかけてニューヨークのアカデミー・オブ・ミュージックでライブ・レコーディングされ、1972年の夏に発売された。ぼくが聴いたのは1974年で高校一年生の夏。ロックの盟友、山本浩司くんがレコードを貸してくれた。一聴してロビーのギターにしびれた。普通はバカにされるからあまりやらないトレモロを多用、ピックではじいた弦を爪にあててミュートさせている。そんなに難しいテクニックじゃないんだけど、鳥肌が立つほどカッコいい。その後長く、ロビー=命の日々を送る。
ロックっていいな。この世界にロック・ミュージックがあってよかったなあ。それだけで生まれてきて丸儲けって気分だ。モーツァルトの時代にはなかったんだぜ。いまを生きる幸せ。いつかまた別のオールタイム・ベストを選んでみたい。(2019.5.17)