4月2日(月)晴れ
「まぐまぐ」のエッセー。午前中、気功。
復興と再生。自明のことのように言われるけれど、そのために原発の再稼働や増税が必要なら、復興も再生もしなくていい、という意見も当然あるだろう。実感の伴わない、空疎な言葉で未来を語ることはやめなければならない。
「世界のトヨタ」や「世界のソニー」でなくてもいい。世界一優秀な車や家電品を作る「国内メーカー」でいいではないか。「先進」でも「途上」でもない社会のあり方を構想することが、ぼくたちの手にしている可能性だと思う。夜は剣道。
4月3日(火)曇り
風強し。「まぐまぐ」のエッセー。
今朝の『朝日新聞』に森永卓郎のWEBRONZAでの発言が載っていた。年間三万人の自殺者を「経済的困窮も命を奪う」と総括した上で、だから日本経済のダメージを小さくするために、原発を再稼働させる必要があると結論する。馬鹿ではないのか。味噌もクソも一緒とはこのことだ。
北朝鮮の保有するプルトニウムは45キログラム。日本の保有するプルトニウムは50トン。北朝鮮はいまのところ放射能による実害を与えていないが、日本は地球上を放射能で汚染し、計り知れない数の人たちに実害を与えた。日本に北朝鮮を制裁する資格があるとは、とても思えない。
アントニオ・タブッキが亡くなった。作品の印象から、なんとなく同世代の作家だと思っていたが、70歳近かったのだ。それでも若い。日本ではナタリア・ギンズブルグなどとともに、須賀敦子によって紹介された。いちばん好きな作品は『レクイエム』(白水社)かな。
夜は次男と二人でクリント・イーストウッドの『許されざる者』を観る。『ペイルライダー』同様、映像が非常に美しい。10時過ぎに妻が東京から帰ってくる。台風並みの暴風で新幹線が広島で立ち往生し、12時間近くかかっての帰還となった。
4月4日(水)晴れ
台風一過という感じ。「まぐまぐ」のエッセーをつづける。
午後、妻と次男と三人で、ドライブをかねて郊外へ桜を見に行く。数年前まで名所だったところ、桜の木が伐られて公民館が建っている。残念。今日、明日が見ごろだろう。
加藤典洋『3.11』。なんとなく生煮えで期待外れ。エコカー補助金に300億円なんて、馬鹿げているにもほどがある。どうして自動車業界に国民の税金を恵んでやらねばならないのだ。こんな制度が存続している限り、新車なんて絶対に買わないぞ。環境のことを考えるなら、ハイブリッドなどには手を出さず、いま乗っている車を大事に乗りつぶすことだ。
ミャンマーの民主化、いいことなんだろうけど複雑な心境だ。欧米の経済進出によって、ミャンマーの文化や伝統、人々の暮しが破壊されないことを願うしかない。夜は剣道。
4月5日(木)曇り
ようやく「まぐまぐ」のエッセーを書き終え、今日から小説の最終章「足音」に取りかかる。午後から妻と車で桜を見に行く。曇り空のせいか、思ったほどきれいではなかった。
ビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』が届いたのでさっそく観る。素晴らしい! 英語の字幕は気にならない。もともと台詞が少ないし、映像がすべてを語っている。これはイギリスのアマゾンへ注文したもの。送料込みで8ポンド、千円ほどだからお買い得だ。
普天間の補修費、日本はいま原発が大変なことになっていて余裕がないのだから、はっきり断るべきだ。だいたい人間と人間が戦争をしていた時代は過ぎつつある。歴史はウィルスや放射能など、人間が自ら作りだした目に見えない敵と戦う段階に入りつつある。テロにしても、本質的にはそのようなものだろう。20世紀が戦争の時代だったとすれば、21世紀は戦争を懐かしむ時代になるかもしれない。
4月6日(金)晴れ
「足音」をつづける。ドゥルーズ『シネマ』、矢部史郎『愛と暴力の現代思想』など。夜は剣道。
4月7日(土)晴れ
「足音」を少し。
今日は午前中、公民館のサークル活動の開講式に、剣道教室の代表として参加。人権教育指導員の「身近にある人権の話」を拝聴する。ムキになるほどのことではないのかもしれないが、「人権」という言葉が、ぼくたちの社会を息苦しくしている面は、間違いなくある。「セクハラ」などとまわりくどい指弾の仕方をしなくても、彼氏に殴ってもらえばいいじゃないか、とぼくなどは単純に思うが、こういうジェンダーバイアスのかかった発言が問題なのだろうな。やっぱりぼくたちは管理社会を生きている。「人権」は資本主義国家のイデオロギー教育的な側面ではないだろうか。
午後、父を迎えに行って、そのまま剣道へ。今日は次男が大阪へ就職試験を受けに行っているので、夕方から家内と二人で博多駅に出て、丸善で本を買い、近くの店で軽く呑んで帰る。
4月8日(日)晴れ
「足音」をつづける。
午後より、両親のマンションへ出向いて父にマッサージ。そのまま近くの公園で、剣道教室の花見。ビールに焼酎。3時からはじまった宴会が7時まで盛り上がる。8時ごろ帰宅。