31 クラシック音楽との出会い

ネコふんじゃった
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 中学生のころは、よくラジオを聴きながら勉強していた。そこで耳にして、好きになった曲もたくさんある。デオダードの「ラプソディ・イン・ブルー」も、そんな曲の一つだ。
 原曲はガーシュインのピアノ協奏曲。夢見るような美しいメロディが気に入ったぼくは、オリジナルも聴いてみたくなったが、なにせ相手はクラシック、自分のこずかいをはたいてまでは、と二の足を踏んでいた。ちょうどそのころ、クラシックの廉価盤というのがシリーズで発売されはじめていた。「運命」と「未完成」のカップリングで千円というやつだ。「ラプソディ・イン・ブルー」も出ている。まあ千円ならいいか。安さに釣られて、ぼくは生まれてはじめてクラシックのレコードを買うことになった。
 今回、ご紹介するCDは、デオダードのCTIからのデビュー作で、『ラプソディ・イン・ブルー』の一つ前の作品になる。この時期のCTIは、クラシックをジャズ・ロック風のアレンジで、というのがレーベル・カラーだった。ヒューバート・ローズの「春の祭典」、ジム・ホールの「アランフェス」、ボブ・ジェームスの「はげ山の一夜」といった具合である。デオダードは「ツァラトゥストラ」に挑戦している。さすがにちょっと無理があったかな。スキップして二曲目から聴きましょう。「スピリット・オブ・サマー」。題名のとおり、夏の夕暮れを思わせる美しい曲である。このあとドビュッシーの「牧神の午後」などを挟みつつ、デオダードらしい洒落たアレンジの曲がつづく。(2008年6月)