最初に一言。彼らの場合、ジャケットには目をつぶらなければならない。どのアルバムも、ド派手なステージ衣装に身を固めた六人のあまり美しくない男たちが、「8時だヨ!全員集合」という感じで写っている。同じパターンが「これでもか」というくらいつづく。誰か何か言うヤツはいなかったのか?
グループが結成されたのは50年代後半。以後、紆余曲折を経ながら、半世紀以上にわたって活動をつづける。その間には、ビートルズのカバーで有名な「ツイスト・アンド・シャウト」のヒットがあった。ジミ・ヘンドリックスがギタリストとして参加したこともあった。メンバーの急逝、離脱、逮捕などもあった。
このアルバム(1973年発表)は、そんな長い彼らのキャリアのなかでも、一つのピークをなすものだろう。タイトルはヴォーカル三人に、楽器三人というメンバー構成を表している。しかも兄弟五人に一人の義弟という、完全なファミリーバンドである。ポイントは、ジェームス・テイラーの「寂しい夜」と、シールズ&クロフツの「サマー・ブリーズ」という、とびきりのカバーが二曲入っていること。おかげで数多い彼らのアルバムのなかでも、ぼくにとってはひときわ愛着のある作品になっている。
このあと彼らは、『ライブ・イット・アップ』、『ヒート・イズ・オン』、『ハーベスト・フォー・ザ・ワールド』と立てつづけに名作を発表していく。最後に一言。くれぐれも、ジャケットは大目に見てあげてくださいね。(2008年9月)
35 アイズレーが歩んできたロング&ワインディングな道
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