ここ福岡では、雪が積もることは一年に一度あるかないか、氷が張るなんて事態は、もう何年も記憶にありません。やはり温暖化の影響でしょうか。ぼくが小学生のころには、郷里の四国でも、冬になるとよく氷が張っていました。池や水溜りに張った氷を割りながら、学校へ通うのが楽しみでした。トタン屋根に大きなツララがぶら下がっているのも、これは小学校に上がる前だったか、見たおぼえがあります。そういう寒い朝は、掃除の時間にバケツに汲んだ井戸水が、とても温かく感じられました。
チック・コリアとゲーリー・バートンが、七十年代のはじめに共演したこの作品は、ジャケットのせいか、それとも録音されたオスロという街のせいか、どこか北欧の夜明けを思わせる、凛とした透明感があります。もともとヴィブラフォン(鉄琴)という楽器には、クリスタルなイメージがあるようです。とくにバートンの演奏は、音色といいフレーズといい、ミルト・ジャクソンなどにくらべてクリスタル度が高い感じです。チック・コリアのピアノとも、相性はぴったりです。
コリアの作品に加えて、スティーブ・スワロウという人の曲が取り上げられています。彼はスタン・ゲッツのバンドにいたころからのバートンの同僚で、不思議な浮遊感のある、いい曲を書く人です。本業はベーシスト。最初はアコースティックでしたが、のちにはエレクトリック・ベースも弾いています。カーラ・ブレイやジョン・スコフィールドとも共演している、面白い人です。(2008年2月)
27 冬の寒い朝に聴きたい、透明感あふれるデュオ
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