まずはジャケット。一歩間違うと通販の商品カタログになってしまいそうな図柄だが、計算され尽くしたデザインは、やはり大手のレコード会社のものらしく洗練されている。内容も、ジャケットそのままに甘くてお洒落。安手のイージーリスニングとは、一線を画す。
ローリンド・アルメイダはブラジル生まれのギタリストだが、活躍の舞台は主にアメリカ西海岸。スタジオ・ワークや映画音楽の仕事も多い。ぼくは学生時代にLA4のレコードで彼の演奏を聴いたのがはじめて。その後、スタン・ゲッツとの共演盤『ゲッツ・アルメイダ』を聴いて、ますますファンになった。
ボサノヴァ・ブームで世に出た人だが、ボサ・ノヴァ特有のシンコペイトするリズムはそれほど強くなく、むしろクラシカルな響きを重視するギタリストである。音の美しさに加えて、どこか気品がある。このアルバムのように、メロディアスな楽曲を中心とした選曲、ストリングスの入ったアレンジは、そんな彼のギター・スタイルに合っている。タイトル曲や「ミッシェル」のような有名曲に混じって、どこから探してきたんだろう、というようないい曲がさり気なく入っているのもうれしい。
非常に幅広い活動をした人だが、リーダー作としては、ギターにビキニの少女をあしらったジャケットが印象的な『ギター・フロム・イパネマ』が忘れられない。また金髪の女性がジャケットを飾る『ザ・ルック・オブ・ラブ』も、同じ路線の作品としてお勧めです。(2010年3月)