宮沢賢治の周辺

宮沢賢治の周辺

宮沢賢治の周辺(4)

第4話 「小岩井農場」② ユリアがジュラ紀に、ペムペルがペルム紀(二畳紀)に由来する名前だとすると、数億年の視野で考える必要がある。そのくらい遠いともだちなのだ。そこまで遡らないと、「わたくしはこの巨きな旅のなかの一つづりから/血みどろにな...
宮沢賢治の周辺

宮沢賢治の周辺(3)

第3話 「小岩井農場」① 少年は汽車に乗ってやってきた。ここは寂しい町の駅だ。客馬車が停まっているけれど、彼に「お乗り」と声をかけてくれる大人はいない。少年は一人でとぼとぼと歩きはじめる。道のりは遠い。畑を通り、丘の裾を抜けて歩いていく。雲...
宮沢賢治の周辺

宮沢賢治の周辺(2)

第2話 「いちねんせい」② 谷川俊太郎の「ぱん」という詩を流れている幸福な音色は、しかし一瞬にして人々の断末魔の声に暗転しうるものだ。食物連鎖といえば聞こえはいいけれど、要するに生存競争である。万物は食べるものと食べられるものに引き裂かれて...
宮沢賢治の周辺

宮沢賢治の周辺(1)

第1話 「いちねんせい」① 前から気になっている谷川俊太郎の詩に「ぱん」という作品がある。1988年に刊行された『いちねんせい』という詩集に入っている。このとき作者は56~57歳。50代半ばで「いちねんせい」。いいなあ。清々しい気持ちで読ん...