ライ・クーダーの10曲
天草の下田温泉まで行ってきた。この忙しいのに、そんなことをしている場合じゃないんだけど、もう1ヵ月ほど前に家族と約束していたので仕方がないのだ。福岡から下天草までは車で5時間くらいかかる。往復で10時間! そのあいだはカー・オーディオのハードディスクに入っている音楽を聴きながらの運転となる。ぼくは運転は下手だけれど嫌いではない。音楽と一緒なら5時間でも6時間でも平気だ。
一応、アルバム・タイトルがアルファベット順に入っているはずなのだけど、今回はライ・クーダーのアルバムがたくさんかかった。往復で5枚くらいは聴いたんじゃないかな。それで彼のベスト10を選んでみたくなった。ぼくがライのアルバムを夢中で聴いていたのは高校生から大学生にかけてだ。1970年代の半ばから1980年代はじめ、ライのキャリアのなかでもピークと言っていいだろう。ベスト10もそのあたりの作品が中心になっている。
- Dark End Of The Street (BOOMER’S STORY)1972
- Tattler (PARADICE AND LUNCH)1974
- It’s All Over Now (Same)
- Always Lift The Same (CHICKEN SKIN MUSIC)1976
- He’ll Have To Go (Same)
- Yellow Roses (Same)
- Shine (JAZZ)1978
- I Can’t Win (BOP TILL YOU DROP)1979
- Why Don’t You Try Me (BRDER LINE)1980
- Down In The Boondocks (Same)
- Paris, Texas (Sound Track)1984
今回は一曲ずつのコメントは省略しよう。わかる人にわかってもらえばいい。「パリ、テキサス」について一言。ライのデビュー・アルバムの最後にブラインド・ウィリー・ジョンソンの「ダーク・イズ・ザ・ナイト」が入っている。これも名演だが、同じ曲想を彼なりに昇華したプレイとして、番外扱いながら、どうしても入れたかった。ここにライのすべてがあると言ってもいいと思う。
バッハもモーツァルトもベートーヴェンも、もちろん美しい。でも人類がつくり出したもっとも美しい音楽は、ライのこれらの作品だと思う。「ライ・クーダー」という一人のミュージシャンの音楽のなかに、過去の無数の無名の人々が踊り、うたったものが集約されているからだ。(2019.6.29)