59)エイモス・ギャレットのギターにしびれる

ネコふんじゃった
この記事は約2分で読めます。

 マリア・マルダーが夫であったジェフ・マルダーとのコンビを解消し、ソロとなっての第一作。レニー・ワロンカーとジョー・ボイドという敏腕プロデューサーのもと、集められたミュージシャンの顔ぶれがすごい。ジム・ケルトナー、クリス・パーカー、マーク・ジョーダンといった一流のスタジオ・ミュージシャンから、マニア心をくすぐるライ・クーダーにドクター・ジョン、忘れちゃいけないニック・デカロ、渋すぎるぜスプーナー・オールダム、あら懐かしいジム・ゴードンにクラウス・ブーアマン、なんであんたがのレイ・ブラウン……以下省略。

 いやまあ、あちこちから曲者ばかりを集めたものです。それを適材適所というか、バラエティに富んだ楽曲に応じて配したプロダクション・ワークはさすが。そして主役のマリア・マルダー。基調はカントリーなんだろうけど、これまたジャンルを超えた不思議な歌手だ。田舎っぽいけれど、どこか都会的に洗練されていて、蓮っ葉だけれど品がある。まさにワン・アンド・オンリーの歌い手さんだった。

 きわめつけは「真夜中のオアシス」におけるエイモス・ギャレットのギター。彼の名演は数知れないけれど、そのなかでも一、二を争うものだろう。本当に、とろけちゃいそうな甘いギターです。この曲、最近ではアン・サリーがデビュー・アルバムでカバーしていた。彼女のアルバムは、いつも選曲の妙に感心させられるが、このチョイスにはうなってしまった。そういえば歌い方も、ちょっとマリア・マルダーに似ている。(2010年9月)