28 ジョン・セバスチャンは、たんぽぽみたいなミュージシャンです

ネコふんじゃった
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 今年は一月が暖かく、このまま春になったのではありがたみがないな、と思っていたら、二月になってようやく寒くなってくれた。北国の人には叱られるかもしれないけれど、やっぱり冬はきちんと寒い方がいい。こちらは立春を過ぎると、風は冷たくても日差しはさすがに春めいて、散歩の途中で、庭に紅梅・白梅が咲いているのを目にしたりする。畑の土手などに水仙が咲いているのを見つけると、思わず足を踏み入れて鼻を近づけてみたくなる。あと、たんぽぽって、好きだなあ。「蒲公英」と漢字で書くと、何か別の花みたいで、そういうところも気に入っています。
 大作曲家のファーストネームとミドルネームを名前にもつ、この人。やっている音楽は、名前ほどいかめしくない。むしろ「ほのぼの」とか「ふわふわ」といった、ハ行系の修飾語が似合う人である。ぼくなどは昔から、たんぽぽみたいなミュージシャンだなあ、と思っていた。どこがたんぽぽなのかと、あまり深く問われると困るけど。
 これはラヴィン・スプーンフルを離れた彼が、一九七四年に発表したソロ・アルバム。不遇時代とされているけれど、それがかえって幸いしたのか、のんびりした「たんぽぽ度」の高い作品に仕上がっている。曲も演奏も素晴らしい。リトル・フィートのローウェル・ジョージが参加しているのも嬉しい。大好きなエイモス・ギャレットが、いつもながら渋いギターを弾いているし、ライ・クーダーも一曲だけ入っている。聴きどころの多いアルバムである。(2008年3月)