70)秋の木漏れ日のなかで

ネコふんじゃった
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 グレイトフル・デッドは一九六五年にサンフランシスコで生まれたバンド。最初はワーロックスと名乗っていたらしい。このころの音源を聴くと、どこといって特徴のないブルース・バンドという印象を受ける。しかしながら、ときはドラッグ・カルチャーの隆盛期。当時はまだ合法的だったLSDをキメて、彼らの作品もサイケデリック色を強めていく。ライブでは、ドラッグによるトリップ感を音で表現したような、長尺な演奏が聞かれるようになる。

 この『ワーキングマンズ・デッド』は一九七〇年に発表されている。それまでのサイケ色は薄まり、曲もコンパクトにまとまったものばかり。さらにアコースティック・ギターとコーラス主体の演奏は、「いったい何があったのだろう」の思いを抱かせる。それはさておき、曲の良さ、美しいハーモニー、やわらかなギターの響きは、膨大に残された彼らの作品のなかでも屈指の心地よさ。まさに暖かい秋の日だまり感覚である。これからデッドを聴こうという人には、このアルバムや、つぎの『アメリカン・ビューティ』あたりを、まずお勧めしたいと思う。

 一九九五年にリーダーのジェリー・ガルシアが亡くなって、三十年に及ぶデッドの歴史にひとまず幕が下ろされたわけだが、その後も新しい音源が登場したり、昔の作品がリニューアルされたりと、いまだにやっているような錯覚にとらわれる。ぼくなども、ときどき思い出したように聴いている。非常に音楽性の高いバンドなので、どの作品も楽しめる。(2011年8月)