バート・バカラックの10曲
バート・バカラックが亡くなった(2023年2月8日)、94歳で自然死というから大往生と言っていいだろう。傍から見ると、音楽家としても申し分のない生涯だったように思える。これだけ多くの名曲、一般のリスナーのみならず、プロのミュージシャンたちからも愛される曲を残したのは、他に同時代ではポール・マッカートニーくらいではないか。
ぼくは中学生のころから彼の作る音楽が大好きで、カーペンターズをはじめとして、いろいろな人たちの演奏でバカラック&デイヴィッドの作品を聴いてきた。何度かベスト10を選んでみようと試みたが、いい曲が多いことに加え、素晴らしい演奏も数限りなくあるので、とても10や20では収まらなくなってしまう。あれも、これも……とつぎつぎに出てきて、収拾がつかなくなるのがいつものことだった。
しかし彼が亡くなったのを機会に、思い切って選んでみようと思う。その結果、以下のように「定番」と言っていいほどオーソドックスなものになった。新奇なものはほとんど入っていない。きっと多くの人に気に入ってもらえるだろう。
1 The Look Of Love (Dusty Springfield)
2 Walk On By (Dionne Warwick)
3 (They Long To Be) Close To You (Carpenters)
4 Raindrops Keep Fallin’On My Head(B.J.Thomas)
5 I Say A Little Prayer (Aretha Franklin)
6 It Doesn’t Matter Anymore (The Cyrkle)
7 Don’t Go Breaking My Heart (Roger Nichols & The Small Circle Of Friends)
8 Me , Japanese Boy (Harpers Bizarre)
9 Wives And Lovers (Percy Faith Orchestra)
10 The April Fools (Earl Klugh)
最初の5つは定番中の定番と言っていいだろう。6、7、8はちょっと個人的な好みが入っているかな。いわゆるソフト・ロックの名盤から。9のパーシー・フェイスはぼくが彼のCDを集めるきっかけとなったもの。10はハル・デイヴィッドの歌詞が素晴らしく、ディオンヌのバージョンも捨てがたいのだが、思い出深いアール・クルーのアルバムに収録されたものを選んだ。他にも好きな曲、好きな演奏は数えきれないくらいあるが、今日のところはとりあえず。本人のオリジナル・アルバムとしては、晩年にコステロとやった「Painted From Memory」をあげておこう。
このところ立てつづけに好きなミュージシャンが亡くなって寂しいかぎりだが、素敵な宝物を残してくれたことに感謝しながら、これからも彼の作品を聴きつづけようと思う。(2023.2.14)