小説のために 小説のために(第十一話) 1 前から気になっている谷川俊太郎の詩に「ぱん」という作品がある。1988年に刊行された『いちねんせい』という詩集に入っている。このとき作者は56~57歳。50代半ばで「いちねんせい」。いいなあ。清々しい気持ちで読んでみよう。 ふんわり ふ... 2024.11.27 小説のために
小説のために 小説のために(第八話) 5 円空仏も木喰仏も、多くの人の手に触られ、つるつるになったり、すり減ったりしているものが多いという。距離を置いて眺めるのではなく、手で触って感触を楽しむ仏像。親しみがあって身近。村人が具合の悪いときに借り出し、枕元に置いてお祈りをしたとか... 2024.11.23 小説のために
小説のために 小説のために(第七話) 4 谷川俊太郎の詩はおかしい。なんかヘンだ。どうしてこんなものができちゃったんだろう、と思わせる詩がある。作ったというよりはできちゃった。うっかりこの世に誕生してしまった。まるで詩人と言葉が一夜の過ちを犯したかのような、その副産物としての詩... 2024.11.22 小説のために
小説のために 小説のために(第六話) 3 谷川俊太郎の詩を読んで感じるのは、ひとことで言うと「嘘くさくない」ということだ。賢しらさを感じさせないというか、殊更に作りましたという痕跡が希薄である。たしかに作ってはいるのだけれど作為を感じさせない。言葉が自然に生まれているような感じ... 2024.11.21 小説のために
小説のために 小説のために(第五話) 1 しばらく前から谷川俊太郎の詩集を、気が向いたときにぱらぱらとめくっている。このエッセーでは「眼差し」について書いてきたが、この詩人の作品にも「視線」や「眼差し」について触れたものが多い。集中的に読んでいるわけではないので、ごく散漫な印... 2024.11.20 小説のために