1 机の上
ぼくが仕事をしている机の上はこんな感じ。ご覧の通り、なんの変哲もない。ただごちゃごちゃといろんなものが乗っかっているだけである。つまんない。まあ、仕事をするところだからね。面白おかしくなくてもいいのだ。
この机は、いまから十数年前に家を新築したときに買ったもの。シンプルな作りで、できるだけ広いものを選んだつもりだが、いまとなっては狭い。まずパソコンが三分の一くらいを占有してしまう。そのまわりに本やメモ用紙や筆記用具が散乱して、平地がほとんどなくなっている。できれば2倍くらいの面積が欲しいけれど、そうすると隅の方は手が届かなくなるだろうな。またパソコンがあまり遠ざかるのも困る。
いま使っているデルのノートパソコンは、この春に新調した二代目である。先代のデルは10年ほど使いつづけた。さすがに重くなり、起動に時間がかかって仕事が捗らない。しょうがないので買い替えた。データを移し替えたりするのが面倒臭くて厭なのだ。キーボードの感じなどもかなり違う。いまのものは薄くなりすぎて打ち間違いが多い。
車もオーディオも新しいものには触手が伸びない。できれば一生同じものを使いつづけたいくらいだ。たぶん机を買い替えることはもうないだろう。あと何年一緒かわからないけれど、日ごろ過ごしている時間は、うちの奥さんとよりも長いはずだ。仕事をはじめるのは朝8時で、それから正午まではパソコンに向かって何か書いている。午後、本を読むのもたいていこの机の上だ。というのも、ぼくはマーカーで線を引き、鉛筆で書き込みをしないと本を読んでいる気にならないからで、おのずと読書は机の上ということになる。
正面は広い窓で、外には海が見える、と言いたいところだけれど、かつて海だったところは人工島になって、高層のマンションなどが建ち並んでいるので、あまりぱっとした眺望は得られない。目の前に川のような、運河のような海が申し訳程度に見えるくらいである。あとは空港に着陸する飛行機が視線の先を飛んでいく。
飛行機や雲を眺めてぼうっとしている時間もけっこう長い。窓は西向きなので、日によって真っ赤に焼けた夕陽が眺められる。(2018.10.10)