2016-10

ネコふんじゃった

11 セピア色のビーチ・ボーイズ

手ごわいバンドである。なかなか一筋縄ではいかない。三十枚近いオリジナル・アルバムのなかに、駄作は一枚もない。どのアルバムにも、ちゃんと聴きどころがある。このアルバムは十五枚目だから、ちょうと折り返しということになる。デビューから六年、セール...
九産大講義

第3回 時間

今日は小説のなかの時間について話をします。ちょっと難しく感じられるかもしれませんが、できるだけわかりやすくお話ししてみます。  単純なやつからいきましょう。みなさんは『今昔物語』をご存知でしょう。芥川龍之介の「鼻」が『今昔物語』の説話を題材...
九産大講義

第2回 語り手

これから数回にわたり、小説の構造について少しお話します。一般に小説と言われているものが、どういった要素によって成り立っているかということですね。いろいろな説明の仕方があると思いますが、この授業では語り手、空間、それに時間という三つの要素につ...
講演原稿

家族として見た世界~人がつながること

今日は家族についてお話しします。まず家族というものを、どういうところでとらえればいいか。実体としての家族、現象としての家族、あるいは文学、思想としての家族。いろいろな切り口で家族を語ることができます。そこで家族というものを象徴する出来事と言...
ネコふんじゃった

10 いつかはジョアン・ジルベルトのように

年に数回、仕事で東京へ行くことがある。出版社が近いので、たいてい一日は、御茶ノ水から神保町の界隈をうろうろする。あのあたりって、どうしてカレー屋と楽器店が多いのだろう。過日、そんな中古楽器店の一つにふらりと足を踏み入れた。スペイン製のクラシ...