小説のために(第三話)

 ぼくたちは自分の内在的な本質によって自分になっているわけではない。自分探しなどというのは、地中に果てしなく穴を掘りつづけるようなものだ。最初から無意味であることはわかりきっている。自分を探すのではなく、他者を探さなくて […]

ご挨拶

 このたびオフィシャル・サイトを開設いたしました。以前に『片山恭一書店』というサイトをやっていましたが、こちらは運営会社を経由したものなので不如意なことも多く、長く開店休業の状態にあります。こうした状況を見かねて、ぼくの […]

なお、この星の上に(3)

 いつのまにか竹林のところまで来ていた。そろそろウグイスが鳴きはじめるころだが、林のなかは静まり返っている。竹林の横は柿畑だった。これらの柿は出荷用で、実を採りやすいように、大人が手を伸ばせば届くくらいの高さに揃えて剪定 […]

勝手にゴダール take2

 ゴダールの映画って、日本ではどのくらい公開されているんだろう。半分くらいかなと思って調べてみると、主要な作品はほとんど公開されている。さすがに配給会社はATGとかフランス映画社とかマイナーなところが多いけれど、『中国女 […]

なお、この星の上に(2)

2  農家の生垣から、馬酔花の白い花が顔を覗かせていた。庭先では梅は鮮やかなピンクの花をつけている。牛がときどき間延びした鳴き声を上げた。春休みに入ったばかりの日曜だった。四人はほとんど喋らずに、大根や白菜が植えられた畑 […]

小説のために(第二話)

 飼い猫の話をしよう。ぼくの家には、いま二匹の猫がいる。一匹はオスのヒースで12歳。もう一匹はメスのフクちゃんで、もうすぐ7歳になる。二匹とも病気を抱えているが、とくに今年に入ってからフクちゃんの容態がよくない。  一年 […]

なお、この星の上に(1)

1  イヌワシは切り立った崖の巣を飛び立った。昇ったばかりの朝日のなか、風をつかまえ、ゆっくりと旋回をはじめる。上昇気流に乗って、徐々に高度を上げていく。餌を探さなければならない。イヌワシは腹を空かせている。獲物はノウサ […]