40 春だ、ジャヴァンを聴こう!

ネコふんじゃった
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 現在も活躍するブラジルのミュージシャン、ジャヴァンがアメリカのメジャー・レーベルに移籍しての第一作は、日本でのデビュー作でもある。発表は一九八二年、一曲目の「サムライ」はスティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加しているという話題性もあって、けっこうヒットしたおぼえがある。全編ジャヴァンのオリジナルで、他にも「シーナ」「アサイ」など、名曲ぞろい。

 ロニー・フォスターがプロデュースで、ハーヴィ・メイソンやエイブラハム・ラボリエリといった、当時のLAきってのスタジオ・ミュージシャンたちがバックを固める。つまり作りは完全にフュージョンあるいはAORなのだが、出てくる音は、どう聴いてもブラジルのコンテンポラリー・ミュージックとしか言いようのないもの。

 とかくブラジルのミュージシャンがLAで録音すると、たんに耳ざわりがいいだけの、つまらない作品になってしまうことも多いのだが、このアルバムは成功した例と言えるだろう。洗練された音のなかにも、ちゃんと野性味を残している。ポルトガル語の歌詞に加えて、ジャヴァンの歌声、独特のリズム感などが、遠いアマゾンの風を運んでくる……ような気がする。

 ところで、熱帯の珍しい鳥をあしらったジャケットは日本盤だけのものらしい。秀逸である。アルバムのイメージを決定づけている。オリジナルはジャヴァンの顔のドアップ! インパクトがありすぎるというか、『ルース』というアルバムは、やはりこのジャケットで聴きたい。(2009年2月)