25 冬の夜は暖かい部屋でウィリー・ネルソンを聴こう

 カントリーの人である。カントリー・ミュージックというのは日本の民謡みたいなもので、ぼくのような者にはみんな同じに聞こえる。だから、どうしても敬遠してしまう。このアルバムは、あまりカントリーっぽくない。誰でも安心して(?)聴ける、大人の音楽になっている。ポイントは取り上げられている曲と、プロデューサーだろう。
 まず選曲。タイトル曲をはじめとして、ここでうたわれているのは、「我が心のジョージア」「オール・オブ・ミー」「アンチェインジド・メロディー」といったスタンダードである。いわゆるカントリー・フィールドの曲は入ってないかわりに、「ヴァーモントの月」みたいにシブい曲が入っている。
 プロデュースはブッカー・T・ジョーンズ。スタックス・レコードのハウス・バンド、MGsのリーダーとしてオーティス・レディングなどのバックをつとめてきた、もともとはR&B系の人である。彼のコンテンポラリーなアレンジが素晴らしい。シンプルで言葉少なめな演奏に、ハーモニカとジョーンズ自身の弾くオルガンが、軽いアクセントをつけていく。そこにウィリーさんの年季の入った鼻声が乗っかると、絶妙な味わいが生まれる。
 曲、アレンジ、演奏、歌と三拍子も四拍子も揃った、本アルバムは好評だったらしく、このあと同じ趣向のアルバムが何枚かつづく。国内盤は『モナリザ』『青い影』『枯葉』と、日本人に馴染み深い曲をタイトルに冠しているが、すべてオリジナルのタイトルとは異なる。(2007年12月)