24 ジョージ・マーティンのちょっといい仕事

 「名前のない馬」の大ヒットで華々しいデビューを飾ったアメリカの、これは四枚目のアルバム(一九七四年発表)。本作から、ビートルズの育ての親であるジョージ・マーティンをプロデューサーに迎える。さわやかなアコースティック・サウンドが売り物だった三人組も、さすがに四作目ともなると、新しいことをやりたくなったのだろう。マーティンの流麗なオーケストレーションの効果もあって、これまでになく音楽の幅は広がった。
 前奏曲につづいて「魔法のロボット」がはじまるところは、いつ聴いてもわくわくする。いったいどんな冒険がはじまるんだろう、と思わせる素敵なオープニングである。三人のメンバーは、作風も声もずいぶん違うけれど、それらがうまく配列されて、統一感のあるアルバムに仕上がっている。ちょっとレトロな雰囲気のジャケット・デザインを含めてトータル・アルバムの趣があるのは、やはりビートルズを意識してのことなのだろう。いかにもポール・マッカートニーが作りそうなボードヴィル調の曲もある。
 ビートルズ解散後は、半ば隠居状態にあったジョージ・マーティンにとっても、これは現役復帰のきっかけとなる作品であった。とりわけこのバンドとの相性は良く、ベスト盤も含めて、さらに五枚ほどプロデュースを手がけている。そして翌一九七五年には、いよいよジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ』をプロデュースして、「ビートルズだけの人ではなかった」ことを強く印象づけたのだった。(2007年11月)