2 曇りのち晴れ、ときどきネコ

 飼い猫の名前は「ヒース」、と聞いて「ああ、『嵐が丘』か」と思われたあなた、するどいけれどハズレです。出典は吉田秋生さんの『カリフォルニア物語』。
 一歳半のアメリカン・ショートヘア(♂)で、幼少のころは名前にふさわしく、なかなかに凛々しい顔立ちだった。ところがその後、栄養がよかったのか体質が祟ったのか、もこもこと太りはじめ、いまや『カリフォルニア物語』というよりは『ドラえもん』。鋭角的な線はことごとく崩れ、お腹などぷよぷよして、これじゃあ「ヒース」の名が泣くぜ、我々からは「ヒーちゃん」、どうかすると「ピーたん」などと呼ばれて恥じ入るところがない。まあ、猫に矜持を求めても仕方ないのだけれど。
 はじめて猫を飼ったのは高校一年のときだった。近所の浪人生からもらってきた三毛猫(♀)で、名前は「寝図美」。こちらは遠藤賢司さんの影響です。そのころよく聴いていたレコードに、ニール・ヤングの『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』がある。彼の最大の魅力は、ちょっと物悲しいメロディの美しさ、そして幼い子どものような独特の声だと思う。ピアノだけを伴奏にうたわれるタイトル曲や「バーズ」など、目を閉じて聴いていると、段ボールに入れて空き地に捨てられた子猫が、箱のなかから冷たい冬の空を見上げている情景が瞼に浮かぶ……気がしませんか?
 ロック、フォーク、カントリー、パンク、ロカビリー、テクノ、ジャズ……と、いろんなタイプのアルバムを作ってきたヤング氏ですが、同じようなテイストの作品としては、『ハーヴェスト』や『今宵その夜』などがおすすめです。(2006年2月)