18 ベスト盤についての一考察

 レコードからCDになって、ベスト盤がつまらなくなった、と感じているのは私だけだろうか。かつてLPの時代には、ベスト盤の名盤がたくさんあった。サイモン&ガーファンクルの『グレイテスト・ヒッツ』やジョン・レノンの『シェイヴド・フィッシュ』は、アートワークまで含めてオリジナル・アルバムと言っていいものだった。エルトン・ジョン、ジェームス・テイラー、イーグルスのグレイテスト・ヒッツなども、まさに「グレイテスト」の名に恥じないものだった。日本編集のベスト盤としては、来日記念盤として出た『栄光のシカゴ』が忘れられない。
 そもそもベスト盤というのは、誰が出してもいいというものではなかった。それなりの実績が必要であり、レーベルにとっては看板となるアーティストに限られていた。さらにLPレコード一枚、収録時間にして四十五分から五十分という制約も、ベスト盤のクオリティを高めていた。ところがCDの時代になると、「グレイテスト」の名にもとるグレイテスト・ヒッツが量産されるようになる。先にあげたミュージシャンたちのベスト盤も、いまはCD二枚組で出ている。八十分×二でお腹はいっぱいだけれど、どうしても聞き流すという感じになる。たくさん曲を入れればいいというものではないのである。四十五分真剣勝負で一気に聞かせて欲しい。
 EW&Fの最初のベスト盤こそ、ベスト盤の鑑である。選曲も曲順も、これ以外には考えられない。惜しむらくはジャケットが……。」(2006年7月)