14 ボブ・ジェームスはココアの味

 両親が共働きだったので、小学校から帰ってくると、おやつは自分で作ることが多かった。電子レンジのない時代で、ホットケーキなんかもフライパンでせっせと焼いていた。それからココアね。純正ココアとグラニュー糖をよく混ぜ、熱湯を少し加えてペースト状に練り、そこへ温めた牛乳を少しずつ加えて……美味しいココアを作るのって、けっこう面倒くさい。でも冬の寒い午後、炬燵に入ってホットケーキとココアのおやつなんてのは、ちょっといいもんでした。
 現在もフォー・プレイを率いて活躍しているBJ氏。このアルバムはピアニスト、コンポーザー、アレンジャーとして、一つのピークにあった時期の作品だと思う。一曲目の「アンジェラ」、フェンダー・ローズの音色が美しい。二曲目のタイトル曲では、一分二十七秒目にきらりと光る短いピアノ・ソロが……と全五曲、聴きどころ満載。ときに能天気になることもあるBJ氏だが、このアルバムはマイナーの曲調が多く、全体がしっとり落ち着いた印象で聴き飽きない。参加ミュージシャンたちのなかにはエリック・ゲイルやヒューバート・ローズなど、七十年代のフュージョン・ファンには懐かしい名前も。
 それにしてもソロ・六枚目でタッチダウン(六点)というタイトルは、センスがいいんだか悪いんだか。ちなみに七枚目はラッキー・セブンでてんとう虫(七星)のジャケット。このあたり、どこまでも気のいいおじさんBJ氏である。温かいココアと一緒にどうぞ。(2007年2月)